2008年9月28日日曜日

クソ真面目



どうも自分は真面目人間らしい。

友人Eからいわれたのだが、まったくピンとこない。自分ではいい加減この上ない人間だと思っている。

部屋はいつもちらかっている。ほっておいたら何日も食器を洗わない。仕事なんかしなくていいなら、一生遊んで暮らしたいと思っている。

辛いことが嫌い。疲れることが嫌い。楽なように楽なように物事を持っていこうとする。

気分が乗るとものすごいスピードで何でもやるが、乗らないとまったく何もやる気がおきない。

こんな人間のどこが真面目なのだろう。

Eが自分を真面目だと評したのは初めてではない。ちょっと考え方が合わない時に、すぐに言葉を吐く。それって真面目に考えてしかるべき問題じゃね?って思うこともしばしばだ。

Eとのつき合いもかれこれ10年になる。Eと親交を深めるきっかけは、過去ログの「変人はつらいよ」を読んでいただければわかるが、まぁEは自分のことを本当に理解してくれる人のひとりであるのは間違いない。そのEが真面目だというのだから、たぶん真面目なのだろう。

会話の続きで「では不真面目なのは誰か」とEに問うた。すると「Rじゃないか」と、Rの話をはじめた。

Rは自分とEの共通の友人である。つき合いの長さはEと似たようなもんだが、Rは自分より10歳も若い。だからいわば後輩にあたるわけだが、職種も違うし、学校や職場から発展した関係でもない。

Eが不真面目と評したRは、一見どこからどう見ても真面目人間に見える。Rが個人事務所を立ち上げる際、社名をEを含めた三人で話し合ったことがあったが、自分は「オフィス・クソ真面目」はどうか、と提案したぐらいだ。もちろんジョークで。

Eとのつき合いが10年になるということは、Rとのつき合いも10年になるわけで、その間、いろんなことがあった。

仕事の相談にものったし、恋愛の相談にものった。むろんたいしたアドバイスができるわけではないが、せめて話だけでもちゃんと聞いてあげようと思った。そういう「ちゃんとしてあげなければ」というムードを持っている男なのだ、Rは。

あれは二年ほど前だったか。様々なことが重なり、Rと険悪な雰囲気になったことがある。

Rは自分にたいしていいたいことがいっぱいあったようだった。自分もRにいいたいことがいっぱいあった。ことが終わってひと月ほど経った頃、激論を戦わせたが、物別れに終わった。というか、仲違い寸前までいった。

Eを介してRのことはちょくちょく聞いていたが、会うこともなく、電話することもなくなった。

その後、Eの仲介でRと会うことになった。

Rは深刻な問題をかかえており、自分との間にあったいざこざはどこかに吹っ飛び、「深刻な問題」の話に終始した。

いきがかりを捨て、というとオーバーだが、真剣に悩むRを目の前にして、こっちも真剣に耳を傾け、自分なりの意見をいった。

今から三ヶ月ほど前、不意にRから電話があった。

昔と変わらず明るい口調だった。あいかわらず冗談はつまらないが、それでも自分はRの気持ちがうれしかった。

いいヤツなんだよ、Rは。いろいろあったけど、何かあると心配してくれる。そういうヤツなんだ。だから自分もRが好きだし、ついかまってしまう。

時にはうっとおしく感じる時もあるだろうと思う。でも、まあ、それも含めて自分なんだ。ちょっとだけ我慢してくれないかね。

ホームパーティーをやった話はこの間書いた。Rは夫人を伴ってきてくれたのだが、ほんの少しだけど、Rとふたりで話す時間があった。

この間誕生日で、40歳になった、という話をした。するとRは「僕も30歳になったんですよ」と云った。

そうか、ちょうど10歳違うわけだから、そういうことになるのか。

「30代は早いぞ、あっという間に40になる」と実感を込めて話した。そんな何千年前からの繰り言を、Rはちゃんと聞いてくれた。

「でも僕、30代が楽しみなんですよ。ずっと30代になりたかったから」

楽しみ、か。いや、楽しめ。気楽すぎる気もするけど。

話を戻す。自分は真面目人間、そしてRは不真面目人間か、という話だ。

真面目人間といわれるとアレだが、神経質、または理屈っぽいといわれると、自分は間違いなく神経質であり理屈っぽい人間だ。

細かいところに気がつく代わりに、過剰に遠慮がちになったり、些細なことでイライラしたりする。その結果、人を遠ざけたりもする。

Rは正反対とまでいわないまでも、少なくとも神経質な人間ではないし理屈っぽい人間でもない。もちろん「深刻な問題」に直面すれば真剣に悩むが、基本はおおらかで、根っから明るい。だから誰からも好かれる。反面、かなり鈍感なところもある。

もし<真面目=神経質・理屈っぽい>、<不真面目=神経質ではない・理屈っぽくない>という意味でEが云ったとするなら、当たっているのかもしれない。

自分は真面目だ。言い切るにはまだちょっと自信がないが、とりあえず納得することにする。そしてRは不真面目だ。だからこそ、真面目な自分はRが心配だし、不真面目なRも自分を心配してくれるのではないか。

だけど、まあ、Eがこの日記を読んだら「真面目な人だなぁ」というのだろう。自分もEもどっちもどっちだと思うが。