2008年9月21日日曜日

運転



車の運転をしていると、いろんなことがある。

大学生の時の話。朝、駐車場に行くと車のフロントガラスが割れていた。なんとも悪質なイタズラだ。

とりあえずガラスの破片を拾いまくる。車のガラスが割れた経験のある方ならわかると思うが、車のガラスは普通のガラスとはかなり違う。

ひとことでいえば破片が小さいのだ。普通のガラスのような10センチ前後の不規則な形で割れるのではなく、文字通り粉々になってしまう。

ただでさえ物を拾いづらい車内、結局ほぼ全部の破片を拾い集めるのに二時間もかかってしまった。

とりあえずこの状態はマズい。世話になってる修理工場に電話をし、その工場まで持っていく、というか運転していくことになった。

当時大阪に住んでおり、工場のある神戸までは阪神高速を使っても一時間近くかかる。いつもなら何てことない距離だが、フロントガラスなしで運転するなんて初めてのことだ。さすがに高速道路は怖い。しょうがないので下道(一般道)で行くことにする。

しかしそれでも怖い。とくに鳥が低空飛行で飛んできた時の怖さは形容しがたい。

不思議なことに原チャリなら別段怖くはない。それが「フロントガラスのない車」だと怖くてたまらない。

渋滞もあって、三時間ぐらい、つまりいつもの1.5倍ぐらいかかったろうか。何とか無事、修理工場までたどり着いた。

ガラスをはめてもらう前にもう一度ガラスの破片を掃除機で吸い出してもらった。自分が拾い集めたのと同じぐらいの量の破片が見つかった。

そうだよ、掃除機で吸い出せばよかったんだよ。家から駐車場まで、いくら目の前とはいえそんな長い延長コードなんて持ってなかったけど。

27歳ぐらいの時の話。車が急に必要になった。レンタカーというわけにもいかず、久しぶりに車を買うことにした。

そうはいってもいい車はいらない。乗れれば十分、ということで、諸経費込みで一番安い軽の乗用車を買った。

総額15万円。安い。安すぎる。値段相応のポンコツだったが、動けば何でもよかった。

そのポンコツで東京-神戸間を往復しようとしたのが間違いだった。

行き、つまり神戸から東京へ向かう道中は順調そのものだった。

ところが帰り、名古屋をすぎたあたりからだろうか、突然車の調子がおかしくなった。

この状態で名神高速を走るのは怖いので、名阪国道を使うことにした。

やっぱり調子が悪い。アクセルを踏んでもスピードが出ない。それよりヘッドライトが何だか暗い。ただでさえ暗いことで有名な名阪国道だ。これは怖すぎる。

とりあえずガソリンスタンドに入った。少し調べてもらうとバッテリが空に近いという。

あれだ、つまりダイナモがイカれたのだ。ダイナモというのは発電装置みたいなもんで、ガソリンを電気に換えてくれる。電気はヘッドライトはもちろんパワステやエアコン、カーステなど、車のあらゆるところで必要になる。電気がないと車はまともに走ってくれなくなる。

しょうがない。バッテリを充電してもらう。この間約一時間。

そして一時間ほど走る。バッテリが弱ってくる。またガソリンスタンドに入って充電。これを繰り返した。

途中、全然ガソリンスタンドがない区間があって、あのときほど肝を冷やしたことはない。

あ~あ、こんなことならJAFに入っとくんだった。

ポンコツ軽で東京なんか行くんじゃなかった。

それよりもっと奮発して、まともな車を買えばよかった。

後悔先に立たずである。

車はきちんと整備してナンボである。とくに自分のような車オタクでない人間はそれを痛感する。

いや、そんなことより、痛切に感じておきながら、何度も同じ失敗をする自分の頭の中を整備する方が先かもしれない。