2012年5月5日土曜日

では1970年代はどうだったのか

1980年代に起こった1960年代ブーム、みたいなことを前回書きましたが、1970年代も全然注目されてなかったわけじゃない。
それにしてもものすごく近い過去ですよね。たかだか10年ほど前を懐かしむってのは。

ヴィレッジバンガードみたいな店に行けば1980年代を懐古、みたいな書籍が結構出ていることに気づかされます。といっても、1980年代を切り取るとなると、ヤンキーでも阪神タイガース21年ぶりの優勝でもグリコ・森永事件でもなく、やっぱりファミコンになるのですな。つか他に切り口がないっていうね。

では1970年代にスポットを当てた本、これはさっきも書いた通り1980年代からありました。1960年代ほどではないにしろ、ファミコンしか懐古感が出ない1980年代と違い、網羅すべき出来事やブームはかなりあるのです。
ところがもし今この手の1970年代大百科が発売されたら確実にページを割かれるのに、1980年代に発売されたムック誌では黙殺されている存在があります。
それはドリフターズに関する記述です。
理由は簡単でムック誌が発売されていた1985年前後はまだドリフターズは現役バリバリでした。まだ「8時だョ!全員集合」が放送されていたか、もしくは終わったばかりであり、少なくとも懐古の対象ではなかったのです。

ドリフターズの全盛期は間違いなく1970年代です。荒井注が在籍していた前半、志村けんが加入した後半に分かれることは分かれるのですが、松竹で公開されていた映画も、チョットだけよも、どうもすんずれいしましたも、東村山音頭も、ディスコばあちゃんも、飛べ!孫悟空も、その挿入歌だったゴーウエストも、早口言葉も、「ドリフ大爆笑」のスタートも、全部1970年代という括りに入ってしまいます。

1970年代はドリフターズの時代だった、といっても過言ではない。浅間山荘も欽ちゃんもピンクレディーも三菱銀行北畠支店の事件も、ドリフターズの存在には霞んでしまう、それほどの存在だったはずで、これは1980年代のファミコンに相当するはずなんです。

1970年代のドリフターズ
1980年代のファミコン
そして1990年代は小室哲哉
軸があるんですよ、1970年代以降の時代は。
1960年代はというと、これがない。つか軸になり得る存在や出来事が多すぎてとてもひとつに絞れない。
逆なのは2000年代で、軸になるものが何もない。奇妙なくらいない。無理矢理いえばインターネットとかになるのでしょうが、インターネットが将来懐古の対象になるとはとても思えないわけで、iPhoneやユニクロや電車男に置き換えても一緒です。
とにかくすべてが小粒すぎるし懐古の対象にすらなり得ないものばかりです。

さて2010年代はどうなるのか、冗談抜きでね、今のところ「ぽぽぽぽーん」が最有力な気がする。めちゃくちゃ小粒だし、そもそもあんな震災が起こったからこそのあのCMの連打だったわけですが、それでも10年後に人々が「懐かしい」と思えるのはあれくらいしかない気がするんですよねぇ。