2012年5月22日火曜日

ナムコ!ナムコ!ナムコ!

アタシは一応デザイナーなんて仕事をしておるわけですが、デザインの勉強をしたことなぞただの一度もないわけで、まあそりゃ独学ではやりましたが、学校みたいなところで習ったことは皆無なわけです。
プロとしてやるにあたって参考にしたりした好ましいデザイナーも出てきたのですが、もっと潜在的な部分で、つまり無意識のうちに吸収したデザインって何だろうと考えた時に行き着くのはナムコなわけです。
そう、あのゲームメーカーのナムコです。今はバンダイナムコか。そんなことはどうでもいい。アタシが書きたいのは1980年代のナムコのことなんだからナムコでいいのです。

1980年代初頭、ゲームセンターというのは光輝く場所でした。時代の最先端であったコンピューターグラフィックというのを最も身近に感じさせてくれる場所だったんだから。
アーケードゲームの最初にして最大のヒットといえばスペースインベーダーに決まっているのですが、これはこれでサイバーで味があるのですが、美しいとはちょっと違った。しかしインベーダーブーム後にナムコが発表した「パックマン」であったり「ギャラクシアン」の美しいこと!当時はまだまだ基盤の性能も低く、ナムコだけが突出して高い性能のマシンというわけではなかったのですが、造形と色使いの上手さからくる美しさはグンを抜いてました。
当時アタシが最もハマったゲームは「ムーンクレスタ」(ドッキングがあるやつね)だったんですけど、正直これは美しいゲームではなかった。ところが「ギャラガ」なんて、なんであんなに綺麗なんだろ、と感嘆するしかなくて、下手だったので自分ではあんまりプレイしてなかったんだけど、友達のプレイを見るのは大好きでね。グラフィックもそうなんだけど、動きも華麗なんですよ。どこをどう切り取ってもデザインチックで。
下手なのはしょうがないんだから、やっぱナムコのゲームをやらないとダメでしょとなってね。もちろんゲームとしても非常に面白かったし。

今の目で見ても「マッピー」とか「ディグダグ」とかデザインとして完全に完成されてる。ゲーム性はともかく後の「ミスタードリラー」と「ディグダグ」を比べたらデザイン面では圧倒的に「ディグダグ」が勝ってるんですよ。
そして何といっても「ゼビウス」です。何であんなに美しいんだろう。今の方が数百倍もグラフィックの性能は上なのに、「ゼビウス」の美しさには到底及ばない。低い解像度で、限られた色数で、何であんな優雅で綺麗なスクリーンが作れるんだろう。
アタシがタイトーやセガのゲームにハマれない原因のひとつとしてグラフィックがあるんですよ。全然デザインチックじゃない。ナムコがダントツで、続いて任天堂、だいぶ落ちてコナミ、ずっと落ちて他メーカーって感じです。あくまでデザイン面での話ですが。
ナムコは昔の方が良かった、てな話は散々聞きますが、ゲーム性ももちろんある。でもなによりデザイン面で大きく落ちた気がするんです。性能が良くなりすぎて収拾がつかなくなったのかもしれないけど、あのセンスで今のグラフィック性能で作ればとんでもないものができる気がするんですよね。
もちろん限られた性能だからこそあのセンスが発揮されたのかもしれませんが。

今でもちょっと意識しているというか、特にシンプルかつカラフルなデザインを要求された時に頭に浮かぶのは当時のナムコゲームなんです。少しでもあの域に近づきたいってのがあって。でもやっぱり難しいわ。それくらいレベルが高いんだもん。