2011年12月22日木曜日

人生最大のゲーム

子供の頃の話です。

もうそりゃ、ね、アタシらの世代といえばゲーム!ゲーム!でしてね。まだファミコンもない時代で、テーブルテニス的な簡素な家庭用ゲーム機はあったんだけど、ゲームセンター、略してゲーセンね、そこに置いてあるものとは比べるべくもなかったわけでして。
となるとゲームといえば、ゲーム&ウォッチに代表されるハンディタイプのゲーム機か、アーケードといわれるゲーセンに置いてあるゲーム機のことでして。

ゲーム&ウォッチ系のことは今回割愛して、アーケードゲームについて書こうかと。
ざっくり「ゲーセン」と書きましたが、当時ゲーセンといえば不良の溜まり場でね。実際はそんなこともないんだけど、もうイメージの問題で。小学生がウロウロしちゃいけない場所だったんですよ。
ではどこでアーケードゲームに興じていたかといえば、同世代の方には自明の理ですが、駄菓子屋の店先です。
アタシの住んでた街には数件の駄菓子屋があり、店の前か、その横に仮設的な屋根がついたゲームコーナーみたいなのがあったんです。気の効いたところは店の奥を改造してゲーセン風にして、といってもせいぜい10台ほど並べてるだけなんだけどね。

しかし、ここで問題が発生します。
もう当たり前過ぎるのですが、これらのゲームをするには金がいる。ゲーセンで1プレイ100円のところ、駄菓子屋では50円程度にダンピングされているのですが、それでも「上達すべく」プレイしようと思ったら、やっぱりそれ相当の金がかかるわけです。
何しろフツーの小貧乏な家庭で育った小学生です。そんなに金が続くわけがない。まあ小貧乏な家庭はうちだけではなかったので、友人たちとの会話は「あのゲームの、あそこをどう攻略するか」ではなく「プレイする金をどう調達するか」になってしまうんです。

ある時、友人のひとりがとんでもないことを言い出します。
「ガットがいいらしい」
もう、この一言だけで「ガチャガチャ」という行為をご存知の方ならピンときたでしょう。
ぶっちゃけていいましょう。ガチャガチャ、というのは不正行為です。硬貨の投入口に「別の何か」を入れて、あたかも硬貨を入れたかのようにする、とんでもない行為を指します。
ガットというのはテニスラケットの、まあいや網の部分の繊維状のことで、適度な硬さ及び形状記憶があって、しかも金属じゃないので不正がバレない、ということでした。(金属云々のくだりの真相は今もってよくわからんけど)

ガチャガチャ、の噂はあっという間に広まり、実際に試す奴もでてきました。成功した、上手くいかなかった、いろんな経験を聞きましたが、アタシはなかなか試そうとしなかった。理由は簡単でガットが手に入らなかったのです。そりゃそうですよ。家にテニスをやる人間なんていないし、よしんばいたとしても、勝手にガットを切り取れば鼻血がでるほど怒られるのは目に見えています。
だけれども運命はわからない。ある時手に入れたのですよ、ガットを。たぶん誰かから貰ったんだろうけど、詳細は忘れた。詳細は忘れたけど、即駄菓子屋に走ったことは鮮明に覚えています。
この期に及んで、もう「金のことを気にせず、いっぱいゲームをして上達したい」という思考はどっかに吹っ飛んで、本当に、そーゆーことが可能なのか、とにかくそれを試したい、確認したい、挑戦したい、それだけでした。
当時一番ハマってたゲームといえば「ドンキーコング」だったんですが、すでにアタシは「ドンキーコングというゲーム」より「ガットなるものを手に入れて、タダでゲームができるか」というゲームに夢中だったのです。

結果からいえば、アタシのハマった最大のゲームは、あっさりゲームオーバーになりました。不正行為は失敗、というか未遂に終わったんですね。
一応日をおいて何度か試したのですが、どうしてもダメだった。

まあ今考えたら未遂でよかったんですが、つーか、ホントはこんなことも書かない方がいいんだけどね。
前に「サイバー隣組」というエントリを書きましたが、こんなネタでも食いついてくるのかね。こんな過疎ブログにでも。