2009年8月15日土曜日

サイバー隣組

このブログがいつ炎上するかと思うと夜も眠れない。まあこんな過疎ブログでそんな心配は皆無なのだが。

某吉本芸人のブログが炎上したそうだ。実際に読んだわけではないのでよくわからないが、どうも某Pについて触れたエントリで、覚醒剤肯定とも取れる発言をしたのが元のようだ。
覚醒剤是非についてはともかく、とにかく芸能人のブログというのはやたらと炎上する。これはブログシステムの問題もあると思う。
ここもそうだが、ブログの更新はメールで簡単に行える。ほとんど友達にメールを送るのと何ら変わりない感覚で更新できてしまう。
この、あまりにも気軽さが「うっかり」を産みやすい。公の場でこういう「うっかり」をしてしまう芸能人は少ない。それは仕事という意識があるからだ。
しかし実はブログ、というかインターネットで名前を出して発言するというのも、実は「公の場」なのである。つまりなかば仕事なわけだ。それがあまりの気軽さ故に「公の場」というのを忘れてしまうのではないだろうか。

もうひとつ考えられるのは、ブログを「何でもいいたいことがいえる場」とはき違えている人がいるんじゃないかということだ。
自分もここでいいたいことをいっているが、何でもいっていいとは思っていない。いくらハンドルネームしか晒してないとはいえ、やっぱりいっちゃいけないこともある。それが名前を出している人、そして有名人ならなおさらだ。
某巨大掲示板の有名なコピペで「いいたいこともいえない、こんな世の中じゃ」ってのがある。中には本気で使ってる人もいるが、風刺としてよくできている。
はっきりいってしまうと、有名人に限らず「いいたいことがいえる」場所なんて存在しない。どうしてもいいたければ自分の部屋で独り言でもいうしかない。

太平洋戦争中(内容的に「大東亜戦争」と書いた方がふさわしいが)、隣組というシステムがあった。同名の曲もつくられ、これは替え歌として「ドリフ大爆笑」のテーマソングにもなっていたからご存じの方も多いと思う。
表向きは「隣近所の助け合い、報告を強化しましょう」というものだが、実際は相互監視のためのもので、国が個人の思想を監視するのは無理がある。そこで町単位で相互監視させ、嫌戦思想他諸々を持つ者をつるし上げようというわけだ。
隣組という集団ができれば自然とボス的存在もでてくる。これがまともな人なら問題ないのだが、何しろ時代が時代だ。「正義」という名の下に、かなり理不尽ないじめや村八分もおこなわれていたのが実態らしい。

今のインターネットの世界はまるでこれのサイバー版である。
近所付き合いが希薄になったといわれる現在だが、その分インターネットの世界ではおそろしいほど「隣組」的な思想が濃厚になってしまった。
相互に監視しあい、正義の名の下に、はみ出したものを徹底的につるし上げる。

何だか前々回と内容がかぶってしまったが、このままではインターネットが思想抑制の場になってしまうのではないか。
有名人の「うっかり」程度ならまだいいが、別にうっかりしていたわけではない、まあふつうのことを書いてるだけなのに、サイバー隣組に目をつけられてしまったがために、ブログを閉鎖させられ、社会的な責任まで取らされる。
昔はインターネットは自由な場所だと思われていた。しかしこれからはそうでもなくなるだろう。むしろその正反対になる危険性すらはらんでいるんじゃないかと思うのだ。
以上ですキャップ!