2009年5月25日月曜日

タイガーマスク

子供のおもしろがることはよくわからないが、自分が子供の頃におもしろがってたものですらよくわかっていないじゃないか、とか考え始めると夜も眠れない。

生まれてから一番最初にハマったフィクション、自分の場合は「タイガーマスク」だったのだが、今考えるとどうもフシギな感じがする。
冷静に、今の目で見ると、タイガーマスクって物語は、1960年代後半独特の暗いもので、そもそも「みなしご」がテーマになっている時点で明るいはずがない。
徹底的に暗いドラマとコートームケーでダイナミックなアクション、この両極をひとつのパッケージに収めてあるのがタイガーマスクの「売り」であり、そのことはオープニングとエンディングを見るだけでわかる。
オープニングの、まさしく血湧き肉踊るテーマソング。一対であるといわんばかりの「圭子の夢は夜ひらく」をも超越する、暗すぎるエンディングテーマ。
それはそれで全然いいのだが、どうにも自分の今現在の好みとは反している。
そういう振り幅の大きい物語はどうにも苦手なのですな、今の自分は。
ついでにいえば「主人公が大仰な悲壮感を持って戦う」ってのもあんまり好きじゃない。バックボーンとしてあるのはいいが、ちびっこハウスの子供たちの前じゃ気のいい、というか軽薄極まる青年を演じ、裏ではあまりにも重い十字架を背負って戦う伊達直人。
重い。重すぎる。
何度もいうけど別にいいんだよ、これで。物語としては何の問題もないんだけど、ただ今の、自分の好みからは離れすぎているわけで。

もうひとつ、わからないことがある。
いうまでもなくタイガーマスクはプロレスの世界を舞台にしている。が、その後、自分はただの一度としてプロレスに興味を持ったことがないのである。
正直プロレスがガチだか花相撲だかはどうでもいいわけで、プロレスという興業自体にハナから興味がわかないのだ。
格闘技に興味がないというわけでもなく、相撲は以前書いたように昔はしっかり見てたし、子供の頃は剣道を習ってた。ボクシングも世界戦くらいは見る。K-1も一時は会場まで足を運んだこともある。
でもプロレスには興味がない。「なぜ興味がないんだろう」とすら考えたことがない。

よく「子供の頃にハマったものに大人になってから重要な影響をもたらす」なんていうが、少なくとも自分にとってタイガーマスクは人生に何の影響もあたえていないのではないか。
そりゃ自分だって子供の頃にハマったものに影響されて生きているな、と思う瞬間はありますよ。でもそれはすべて小学校高学年以降にハマったものに限られるわけで。
つまりは小学校低学年までの自分は今の人生とはほとんど関係ない気もする。
いったい何を考えて生きていたんだろう。だいたい幼少時の記憶がほとんどないってのもちょっと珍しいんじゃないか。タイガーマスクにハマったのはおぼえているが、どこがおもしろかったのかとか全然覚えてないし。
ここまで無駄な子供時代がある人を他には知らない。