2009年5月13日水曜日

大泉洋

前回の続きであるが、興味のない人には耐え難いのではないかと思うと夜も眠れない。

大泉洋は芸人ではないが、ただの役者でもない。言葉本来の意味でのタレントでもある。
タレントなんて肩書きをつけようがない(言い方が悪ければ特に専門分野を持たない)芸能人の専売特許のようだが、本当は才能のある、というニュアンスを持つ。
そういう意味で大泉洋はまさしくタレントといえる。
芸人でも俳優でもコメディアンでも何でもいいのだが、自分の中にひとつの指標があって、それは「空恐ろしい」と感じさせてくれたか、これをクリアできた人が、自分の中で最高ランクの芸能人としている。
(まあ自分に「最高ランク」なんて認められたところで何ひとつ価値はないが)
大泉洋の場合でいうと「関西弁」ということになる。
「水曜どうでしょう」でいうなら「ユーコン」編でも「試験に出る日本史」編でもいい。これらを見るとわかるが、関西人である自分が聞いても違和感があまりないくらい関西弁が巧い。
もちろんオクラホマという関西弁を喋る漫才コンビとずっとラジオをやっているのもある。しかしそれだけであれだけ喋れるようになるものだろうか。
(ちなみにそのラジオが始まったのは「ユーコン」編や「試験に...」編の後だから関係ないともいえるが、オクラホマは同じ事務所なの後輩なので交友はあっただろう)
関西弁というのはある意味一番メジャーな方言であり、喋れる人も非常に多い。しかし他地方に住む人が関西弁を喋るのはことのほか難しいようで、関西人が聞くと違和感を覚えてしまう。
これは巧いなあと思ったのは「ちりとてちん」での原沙知絵(福岡出身)だが、あれは方言指導のテープを丸覚えしたらしい。しかしそこまでしないと関西弁としてはダメなのである。
大泉洋のすごいところは基本全部アドリブだということだ。
アドリブということはほぼすべての言葉の関西弁イントネーションが入ってないとできないわけで、それを頭で(つまり勉強して)ではなく、身体で、フィーリングで身につけてしまっているところが恐れ入る。
もちろんよーく聞くとやはりおかしいところはあるのだが、勘所はしっかり押さえているため、違和感がまったくないのだ。
そういえば森繁久弥が「方言で一番難しいのは北海道の言葉」といっていたそうだが、大泉洋の場合、当然北海道弁(というのがあるのか知らないが)は喋れる。
そして北海道の人にとって相当難しいと思われる関西弁も喋れ、また「東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン〜」では博多弁まで喋っていた。
(自分は一時期福岡に住んでいたことがあり、また今も福岡に友人がいるのでヒアリングは大丈夫なのだが、まったく違和感がなかった)
しかもこれは彼にとっては余技にすぎない、とまで書けば自分が大泉洋にたいして「空恐ろし」さを感じてしまう理由がわかってもらえるんじゃないか。

本当はもっと書きたいことがあるんだが、また今度。本当に今度があるのか知らないが。