2011年4月30日土曜日

ポピー、それは幻

藪似です。アタシが小学生のころコロコロコミックという雑誌が創刊されました。
まあ現在もあるアレですけど、とにかく最初に見た時はその分厚さに圧倒されました。にも関わらず単行本と変わらない値段!アタシをはじめ周りの友達も皆コロコロコミックに夢中になりました。たぶん日本中の子供がそうだったでしょう。
その証拠にすぐに後追い雑誌が発売されました。コロコロコミックを発売していた小学館の宿命のライバルといえる講談社から発売されたボンボンです。さらに双葉社からは月刊100てんコミックが発売されます。
実は100てんコミックまではまだメジャーなのです。もうひとつ、知る人ぞ知る、コロコロコミック人気に当て込んだ雑誌が少年画報社から発売されていました。
「月刊少年ポピー」。コロコロコミックと同サイズなので意識していなかったとはいわせません。しかしこれがとんでもない雑誌でした。
一応ウリはアニメ化された「タイガーマスク二世」の連載ですが、他が凄い、というか酷い。
タイトルを並べると「もーれつア太郎」(赤塚不二夫)、「ハリスの旋風」(ちばてつや)、「キッカイくん」(永井豪)、「キャプテン」(ちばあきお)、そして「忍者ハットリくん」(藤子不二雄)・・・。
とんでもない豪華ラインナップじゃないか!そう、無駄に豪華です。ただしすべて「新作」であるならね。
鋭い方ならお気づきでしょうが、すべてこれらの作品は再録なんです。出版社の枠を超えた夢の名作の再録!

・・・正直こんなの面白いと思いますか?たしかに名作揃いですが、単行本で全部手に入るものばかり。単行本を買ってくれば続きが読めるんですから「次号が楽しみだ」とかなるわけがない。
ずっと後年、再録をウリにした雑誌がありましたが、あれはかつての読者に懐かしんでもらおうという意図ですからね。でもこっちは本気ですから。
アタシはすでに小学校高学年でしたから、もう当時から思ってましたよ。こりゃ酷いとね。
案の定あっという間に廃刊になり、2011年現在ネットで検索しても詳しいことは全然でてきません。なにしろWikipediaにすら記載がないくらいですから。
アタシは酷い酷いと思いながら毎月買ってたんですがね。藤子不二雄の狂信的なファンだったからね。まあハットリくんは単行本持ってたんですけど、そのハットリくんもテレビアニメ化が決まって、本家本元のコロコロコミックで「新作」が開始されたという。その頃には少年ポピーは廃刊になってましたけど。

この少年ポピー、大阪国際児童文学館までいけばバックナンバーがあるみたいですが、まあこれだけ研究価値がない雑誌も珍しい。こういうのをあだ花というのでしょうかねえ。