2011年4月3日日曜日

スローライフといわれても。いってないけど

藪似です。いやあ、まあ何と申しますか、大変な世の中になっています。
関西とかどうなんですかね?関東ではちょっとね。うーんって感じですねぇ。いや何がって雰囲気がね。
アタシにとって東京というのはやっぱ特別な街でしてね。心が踊る街であり続けたわけですよ。それは実際に東京に居住してみても変わることはありませんでした。
ところがねえ、いや、慣れたとか飽きたとかそういうんじゃないんですよ。でも、何となく、つまらない街になってきたなあみたいな感じがあって。2ヶ月ほど前に六本木に行った時に強くそう思ったのですが。
そして今回の震災です。雰囲気が変わっちゃいましたよね。もちろん悪い意味で。しょうがないことなんだけどさ。何か、こう、ピリピリしてるからね。何回もいうけどしょうがないんだけど。

アタシの感情とは全然関係ないのですが、ロハスとかスローライフなんて言葉がでてきてね。それは別にいいんだけど、疲れるのはわかるんですよ。東京にたいして特別の思い入れのあるアタシでさえ疲れるんだから。

さて今回はマクラと関係ありそうでなさそうな話を。
去年公開された「マザーウォーター」ね、あまりの悪評にアタシは観に行くのを止めたのですが、そろそろ小林聡美のスローライフ物も限界なんじゃないですかね。
最初「かもめ食堂」を観て結構ビックリしたんですよ。あれ?意外とベタな、ベタといって悪ければ骨格がしっかりしたドラマだなって。
んで期待して観に行った「めがね」はアタシが「かもめ食堂」にたいして持っていたイメージ通りじゃんって。
「めがね」は話が何にもないんですよ。それはそれでいいんだけど、それじゃ逆にスローな時間を感じれないだろうと。ゆっくりした時間の流れを見せたいなら、絶対対比を描かなきゃならないと思うのですよ。

と、「めがね」を観てそういう感想を持ちましたといいたいところだけど、あいにくアタシはそこまで鋭くない。では何故そう感じたか。
去年ね、日テレプラスで「すいか」を放送していたんです。ずっと見たいと思ってて、レンタルで借りようと思ったら貸出中で、結局ずっと見れてなかったのですが、実際目の当たりにして、とにかく抜群に面白かった。
「すいか」は小林聡美の主演第一作であり、いわゆるスローライフ物の第一作でもあると思うのですが、ちゃんと都会の喧騒を描いている。と同時にアクロバティックな設定もちゃんとあってね。小泉今日子が逃亡犯とかともさかりえが双子だったとか、よくよく考えるとかなり無茶な設定ですよ。
だからこそアパートのシーンのゆったりまったりした時間が活きる。登場人物はいろんな意味で追い込まれた人たちなんだけどね。たぶんターゲットも、都会で暮らす追い込まれた人達だろうけど、それらの人が、たとえば「めがね」なんかを観てオアシスに感じることができるのかどうも疑問でね。

「かもめ食堂」はまだ起伏があったんです。だから「ゆっくり流れる時間」を感じることができた。でも「めがね」はそれがないからね。つまりどんどんおかしな方向にいってるというか。もっと具体的にいえば、ただ退屈なだけの話になってる。
ホントは、「かもめ食堂」と「めがね」は監督を含めてほぼ同じスタッフだけど、「すいか」も「マザーウォーター」もスタッフが全然違うからね。一緒くたにしたらいけないんだろうけど、でも小林聡美主演というとこんなんばっかりだから。
(そういや昔小林聡美主演の「神様はサイコロを振らない」について書いたことあったな。これはスローライフ物じゃ全然ないけど)

スタッフが違うことを承知で書いているのですが、それでももう一回原点に帰ってね。帰る必要はないのかもしれないけど、もし小林聡美でスローライフ物的なものを作るっていうなら、「すいか」までたどんなきゃダメだろうと思うわけですよアタシは。