2011年3月2日水曜日

聖おにいさんの影

藪似です。去年久しぶりに会った親戚の叔父さんに思いもかけぬことをいわれました。
いわくアタシはとにかくたこ焼きが好きで、小遣いを貰ってはたこ焼きを買いにいってた、らしい。
そんな気もするが、うーん、憶えていない。たしかに嫌いではなかったし、土地柄たこ焼き屋も珍しくない。が、そこまで好んで食べていた記憶がどうも薄いのですな。
では今、たこ焼きをよく食べるかといえば、まったく食べない。たこ焼きを食べなくなった原因ははっきり憶えてる。
ちょうど阪神大震災の年、当時アタシはたこ焼き屋でバイトしていたのです。ま、飲食店なら当然ですが売れ残りのたこ焼きを毎日毎日大量に貰って帰ってくるのです。
たこ焼きなんてものは、出来たてならまあ大抵美味しいもんなんです。逆にいえば作り置きのたこ焼きなんか食えたもんじゃない。そういうのを「もったいない」と食べ続ければ、そりゃあ嫌いになろうっていうもんです。
さすがに時間が経ちすぎたので今現在は嫌いではありませんが、好んで食べることはありませんね。

たこ焼きの場合、記憶があやふやなのでアレですが、幼少時とまでいわないまでも、ほんの少し10年ほど前と好みがかなり変わってることに我ながら驚きます。
たとえばスナック菓子やインスタントラーメンをほとんど食べなくなりました。これらは全然食べない訳ではないのですが、毎日ポテトチップスを2袋買ってた頃に比べるとあきらかに食べなくなっています。
食べ物ばかりではありません。わりと顕著なのは、極端に漫画を読まなくなりました。
元祖yabuniramiJAPANを読んでおられた方なら承知でしょうが、結構漫画に関するエントリを書いていました。たかだか5年ほど前の話です。
特に藤子不二雄関連の話はしつこく書いたので、一昨年から刊行が始まった藤子・F・不二雄全集なんか、かつてのアタシなら狂喜乱舞したでしょう。
が、実際は現在のところ「オバケのQ太郎」を一冊買っただけです。
藤子不二雄作品なんて、ある意味テリトリーに入っている作品でさえ手に取らなくなるくらいアタシの漫画離れは深刻なのです。

そんな中、例外中の例外が「聖おにいさん」なんですな。
ここ一二年は評判が評判を呼ぶというような形で各所で絶賛されてますが、アタシが初めて知ったのはまだ一巻が刊行されて間もない頃、友人に絶対面白いからと猛烈に勧められたのです。
んで実際読んでみたのですが、これはたしかに面白い。それもとてもフシギな面白さで、一回目より二回三回読み返した時の方が面白さがわかってくるというか、とにかくジワジワくるんですね。
もちろんキリスト教や仏教に精通している方が面白さが強いのでしょうが、とてもじゃないけど精通しているとはいえないアタシが読んでも面白いのは、ギャグのキレが抜群だからです。
いや、それだけじゃない。
笑って笑って何か考えさせられるわけでも、ああ面白かったで終わるわけでもない。読んでる最中が妙に幸せで、もう一回笑いたいというより、またあの幸せな感覚を味わいたいと何度も読み返してしまう。まさに極楽感覚!天国感覚!

しかしこのパターンは上手い。イエスもブッダも年齢なんかないですし、当たり前だけど恋愛要素が絡む可能性も皆無ですから無限に続けることができる。
(恋愛要素が悪いんじゃないですよ。でも恋愛要素があると必ず成就の方向に行くってことだから。つまり物語を語り終える方に向かっていくのですが、ギャグ漫画の場合は無限に続けられる方がベストだと思う)

個人的にはイエスとブッダふたりだけで何かやる話が好きなんで、そういうのをいっぱい書いてほしいなと。んでずっと続けてほしい。
まあ連載がずっと続いたとしても、アタシの「聖おにいさん」熱もいつまで続くかわかんないけど。年取ったらどんどんこうなるのかね。あーやだやだ。