2012年1月8日日曜日

ハウフルスのこと(再録)

お馴染み手抜きデー、yabuniramiJAPANリターンズの日がやってまいりました。
今回はとあるテレビ番組制作会社にスポットをあてたエントリです。
では時計の針を2005年2月27日に巻き戻します。




さてみなさん、ハウフルスって知ってますか?テレビ番組の制作会社なんですが、ふつうの人はまず制作会社なんて意識しないでしょう。アタシだって何も制作会社で番組をみてるわけじゃない。でも好きな番組を並べると、とある共通点に気がついたのです。

たとえばアタシはここ10年以上見続けている唯一の番組が『出没!アド街ック天国』(テレビ東京)なんですが、これの制作会社がハウフルス。またアタシが「この番組だったら自分で企画を出して出演してみたい」と思っている『タモリ倶楽部』(テレビ朝日)もハウフルス制作。他にも『タモリのボキャブラ天国』(フジテレビ)や『どっちの料理ショー』(よみうりテレビ)、『チューボーですよ!』(TBS)もここの制作です。

アタシがこの会社を最初に意識したのが『探検レストラン』(テレビ朝日)という番組で、山本益広を料理評論家として有名にしたことで知られますが、おそらくはじめて≪料理≫をエンターテイメントにした番組だと思います。
とにかく切り口が新しく、にもかかわらず司会に超大衆的な愛川欽也を起用したのも斬新でした。

この<斬新またはマニアックな企画>+<大衆的な司会者>というのがハウフルスの基本で、『どっちの料理ショー』の関口宏や『チューボーですよ!』の堺正章はもちろん、アタシの大好きな『出没!アド街ック天国』ではふたたび愛川欽也を起用しているのです。

ところで番組名が並んでいるのをみて、ひとつ気がつくことがあると思います。そう、どうにも料理系の番組が多いのです。しかし一度でも『どっちの料理ショー』や『チューボーですよ!』をみたことのある人ならおわかりになると思いますが、とにかく料理の撮り方が抜群にうまいのです。とにかくやたら旨そうにみえる。
これはふつうのカメラで料理を撮ってみるとよくわかるのですが、料理を旨そうに撮るというのは非常に難しいことなんです。ましてや動画になるとなおさらです。
アタシが広告代理店に勤めていた当時、やたらクライアントから「もっと『どっちの料理ショー』みたいに撮ってくれ」といわれたものですが、アタシはプロのカメラマンではないですし、そんなもん撮れるわけがありません。でもそれぐらい「おいしそうな料理の指針」になっているんじゃないかと。

まぁそんなことはどうでもいいです。

ここの武器は「料理の撮り方」だけではありません。もうひとつ、やたらBGMの使い方が巧い、というか、センスがいいのです。
これは『出没!アド街ック天国』なんかをみてもよくわかります。たんなるダジャレから映像の雰囲気に合うものまで様々ですが、その選曲が実に幅広い。番組の終わりにわざわざ「選曲の3曲」というミニコーナーまで設けて曲名とアーティストを明示しているくらいです(※現注:現在は終了)。60年代のR&Bから最新のナンバーまで使用しているんです。
とくに70年代のディスコサウンドには、スタッフの中にかなりのマニアがいるとみえるようで、アタシの知識じゃ到底噛み砕けません。

当然のようにアタシの好きな植木等の曲もちゃんと使われていて、「薬丸印の新名物」のコーナーでは、ずっと『馬鹿は死んでも直らない』が使われていますが、このことだけでもスタッフの音楽的知識のすごさがわかってもらえるんじゃないかと。

その音楽的知識とセンス、さらに徹底的なおふざけ精神がいかんなく発揮されているのが『タモリ倶楽部』の中の「空耳アワー」のコーナーなんですね。

たしか2000年の年末に「空耳アワー」の特番をやってたんですけど、これは死ぬほど笑いました。そん時アタシはこう思ったんです。
「このおもしろさを共有できない女性とは付き合いたくない!」
と。

このおもしろさはいったい何なんだろうと考えてみると、ハウフルスのセンスってジョーク好きのミュージシャンのセンスなんですね。いわゆる演芸系の笑いとは180度違う笑い。それこそエノケンからはじまって、三木鶏郎、クレージーキャッツに受け継がれた≪ジョークの延長としてのギャグ≫がある気がするんです。
だからタモリと相性がいいのは当然で、「仲間内のジョーク」を芸にしたところから出発したタモリは、まさにハウフルス制作の番組をやるために生まれてきたようなタレントだともいえます。

それは『タモリのボキャブラ天国』はもちろんだし、非常に短命で終わったものの『タモリのネタでナイトフィーバー!!』(フジテレビ)なんて、本物のジャズメンからジャズメンでない人まで≪ジャズメン風のジョーク、ホラ≫をひたすら披露する構成になってました。こんな生に近い素材がウケるはずもないのですが。

『ボキャブラ天国』でも「空耳アワー」でもいいのですが、最後のオチのために、かなりカチッとした映像をつくっているでしょ。あれって結構大変な作業ですよ。でもオチを最大限にまで活かすためには、あの映像は絶対必要なんです。
谷啓がつくったコントのひとつに「これは本当の話です」という語りからはじまり、その後延々日常のありがちな光景を映像でみせる。そしてふたたび谷啓が画面に現れて「これは本当の話です」なんてのがあったそうです。
実際アタシもこの谷啓作のコントをみたわけじゃないんだけど、これこそまさに≪ジョークの延長としてのギャグ≫ですよね。そしてこれは見事にハウフルスのセンスにつながるんです。

ただ音楽にくわしい制作会社ってだけじゃない。音楽が基本になったおふざけが本当にわかっているというか。そういうところがアタシを猛烈に引きつけるんでしょうね。




今回も2回分をまとめてます。
1回目の前フリはたまたま見た「ケロロ軍曹」についてなんですが、2回目はホリエモンについて書いています。
ちょうどニッポン放送を買収する云々の頃だったのですが、何だか妙におかしかったのでそこも再録します。




何かと話題のほりえもんVSフジテレビですが、こないだテレビをみてたらこんな場面に遭遇しました。
それはほりえもんが、ネットを有益に使えばラジオの世界が広がるかを説明している時でした。するとインタビュアーが「じゃあインターネットにつながってない人はどうするんですか!」と、まるで鬼の首をとったかのように莫迦な質問をしてました。
アタシはほりえもんに関しては、アンチでも擁護でもないけど、ネットをやってる人間をいまだにマイノリティと思っているような、あんな莫迦な記者を相手にしなきゃいけないほりえもんにつくづく同情します。
ラジオで「FAXでご意見を募集してます」なんていわれると「FAXを持ってない人はどうするんですか!」なんて抗議の電話でもかけろってのか、ホントに。
「じゃあラジオ受信機を持ってない人はラジオを聴けないんですか!」
「テレビを持ってなければテレビがみれないじゃないですか!」
「金のない人間は好きなものを食うのを我慢しろってことですか!」
「ムカつくヤツがいても無闇に殺しちゃダメっていうんですか!」
なんでもいけるな、この記者の理屈なら。




だからなんだって話ですが、今日はこの辺で。