2012年2月11日土曜日

才能で得られるもの、努力で得られるもの

昔は打撃は才能、守備は努力といわれたものですが、最近は逆ではないかといわれています。
たしかにそうです。打撃はまれにプロに入って突然変異のように花が開く選手がいます。たとえば元ヤクルトの古田なんか最たるものでしょう。
アマチュア時代の古田は守備はおおいに評価されていましたが、打撃面でプロは厳しいといわれていました。だからこそ大学卒業時にどこからも指名されなかったのです。
が、野村克也監督の指導の元、めきめきと力をつけ首位打者を獲得しましたし、三割30本塁打も記録しました。そして最終的には大卒・社会人出身者としては初の2000本安打を達成したのです。
古田は極端な例だとしても、プロに入って打撃が飛躍的に向上するというのはさほど珍しい話じゃありません。
ところがアマチュアの頃に守備がヘタクソで名手になったって話は聞いたことがない。
現在はさておき、数年前まで阪神の金本の守備を指して「ヘタクソの最高到達点」といわれていました。金本は打撃力と走力はありながら守備はからきしダメで、肩も極端に弱くないのに守備は下手で通っていました。しかし数々の修練を重ねたのでしょう。一応まともな外野手になることができた。
といっても上手い外野手になれたわけじゃない。外野で最も守備力を問われないレフトを過不足なくこなせるようになったにすぎません。

アマチュア時代の守備力なんてプロの二軍選手にも劣るもので、だからいきなり守備で一軍で通用する選手など稀です。が、後年名手になる選手は入ってきた時点からキラリと光るものをもっている。
阪神の平野はアマチュア時代には「プロでもいきなりトップクラスの守備力があるんじゃないか」といわれて入ってきた選手です。が、オリックス時代の平野の守備は惨憺たるもので、早々にショート失格、セカンドにコンバートされた挙げ句大怪我をして、最終的には外野とセカンドを兼任することになります。
阪神にトレードで来た後も、守備範囲は広いがポカが多い選手で、とても名手とはいえませんでした。ところが試合を重ねるにつれモロかった部分が安定し、昨年今年と二年連続でゴールデングラブ賞を獲得したのです。
やはり最初から、というかアマチュア時代から守備の才能があったとしか思えないんですね。

野手に限らず、最近は投手も、スピードボールを投げるのは努力、コントロールは才能、といわれるようになってきました。
スピードボールを投げるのは持って生まれた身体能力も関係ないとはいえませんが、それより「速い球を投げることができるフォーム」を身につけることが肝心なわけで、実際身体作りとスピードボールが投げられるフォームを会得したことで、プロで10キロ以上速くなった投手はゴマンといます。
ところがコントロールはいくらいいいフォームで投げていても、精密機械のようなコントロールはつかないらしいのです。

投手ならコントロール重視、野手なら守備重視というと何となく後ろ向きな感じがしますが、これにプラスして身体の強さと練習嫌いでない、これらの要素があればプロとして通用する気がするのです。
これからはドラフトでその辺を重視して指名してもらいたいのですがね。え?どこがって?もちろん阪神がですよ。