2009年11月14日土曜日

自虐の大阪人

自分は神戸で生まれ・・・いや自分史を語るつもりは毛頭ないがお付き合い願いたい。
神戸は高校を卒業するまで、その後大阪にある大学へ行ったのをきっかけに約10年間大阪で過ごした。
さらに飛び飛びであるが3年ほど大阪に住んでいたことがあり、都合13年ほど大阪暮らしをしていた計算になる。
神戸といっても大阪とほぼ同じ番組が流れており、一番適度な距離で大阪をながめていたのではないかと思う。

さいきんコンビニでつい立ち読みした本に、各都道府県出身者の性格の違いを記したものがあった。はっきりいえばぞっき本に近いものであり、大阪人に関して記してあった章も、いわゆるステレオタイプなことしか書かれていない。
まあそれはいいのだ。所詮ぞっき本如きに文句をいう気にはなれないし、この本を読まずとも、関西に縁のない人々はほぼこういったイメージなのだろうなというのは想像できるからだ。
しかしこれは自分の持っている大阪人のイメージとまったく違う。
他の地方の人から見れば大阪も神戸もたいして変わらないのかもしれないが、自分からしても大阪人のある部分はまったく、ではないが多少理解できない部分もある。
さきのぞっき本でも阪神タイガースと吉本新喜劇については書かれている。吉本新喜劇というかボケとツッコミに関しては今回は省略する。

「○○(阪神が獲得した選手名)最高や!××(阪神が獲得できなかった選手名)なんか最初からいらんかったんや!」
これは2ちゃんねるの野球板でよく使われるコピペである。もちろん阪神ファンが書いた体にして貼り付けてあるのだが、なるほど、それなりによくできている。
では2ちゃんねるとは別の、ほぼ阪神ファンしかいない掲示板を覗いてみる。
「○○?あんなん獲れるわけないやん」
「××(阪神の選手の名前)なんか通用するわけない」
こんな意見のオンパレードだ。こういう掲示板に慣れてない人が見ると、アンチファンしかいないんじゃないかと思われてもしょうがないような書き込みばかりなのである。

狭義に阪神ファンとしたが、これは大阪に置き換えても同じである。
たとえば「大阪なんてヤ○ザばかりなんだろ?」と大阪人に聞いてみるといい。
すると「ホンマにヤ○ザばっかりやで。石投げたらヤ○ザに当たるくらいやから。ま、ホンマに投げたらえらいことになるけど」といった風の答えが返ってくるだろう。
さっきのコピペもそうだが、大阪人というと「大阪最高や!」みたいにいいそうなイメージがあるのはわかる。しかし実際にそういうことをいう人に出会ったことがない。
もったいぶったが、結論めいたことをいえば

大阪人は自虐の人種なのだ。

相手が振ろうが振ろうまいが、まずは自分のこと、ひいては大阪のことを自虐的に語る。
大阪にも、というか大阪人にもいいところはいっぱいある。なのにそんなことはいわない。
ひたすら大阪がどれだけ酷いかを語ろうとする。さっきの阪神ファンと一緒だ。
そこのところが他の地方の人には理解できない。ふつうは自分の住む街を貶されたら腹が立つものだ。でも大阪人は自ら率先して自虐に走る。
何も大阪人は大阪が嫌いで自虐しているのではない。まあいやお約束なのである。
それがわからない他の地方の人はどんどん大阪の悪口をいいまくる。するとどうだ、今まで自虐していたはずの大阪人が怒り出す。当たり前だ。ところが今度はそれが「突然キレる大阪人」というイメージになってしまう。

大阪人は結構複雑なのだ。今様の言葉でいえばツンデレといえるかもしれない。それをいうなら京都はデレツンだろうけど。
神戸人から見ても大阪人は難しい。それを他の地方の人が「騒がしくてヤ○ザが多くてボケとツッコミの会話しかしなくて阪神と吉本新喜劇の話さえすれば喜ぶ」みたいな単純極まる人種として認識したがるのも、何となくしょうがない気はする。
だってマジメに考えてかみ砕けるほど大阪人は単純ではないのだから。