2009年10月6日火曜日

月亭の万能言

昔見た、「♪ボインは〜」で知られる月亭可朝の漫談は驚愕ものだった。
「いや〜ホンマにね、ホンマに。いやホンマ。ホンマでっせ」
ずっとこんな感じで、ホンマしかいってない。
しかしホンマというのはまさに万能な言葉だ。標準語の「本当」に置き換えてもいい。何を聞かれても「本当にね・・・」といっていればさも意味ありげに聞こえてしまうから不思議だ。
可朝の弟子である八方も万能言を持っている。
「さあ、そこやがな」
これまた非常に便利な言葉で、嫌なことを突っ込まれたり、返答に苦しむようなことをいわれた時など特に活用しやすい。
いかにも「じゃあ今からそのことについて詳しく説明しますよ」的な物言いだが、実は会話の内容を他へ逸らすためのブリッジであり、はっきりいえば煙に巻くために使うのだ。
この万能言の後は何をいってもいい。まったく相手の質問と関係ない話をするのも当然アリだ。
要は相手に、どんな質問をしたか自体を忘れさせればいいわけで、コツはなるべく長めに話をし、その中に相手が引っかかってくる言葉を挟み込めればベスト、できなくても頃合いを見計らって、適当にその場から立ち去ればいいわけだ。

可朝→八方、はあまり芸風につながりがなさそうだが、確実に共通しているのは、ともに相手を煙に巻くことに長けていることだ。
それが月亭の芸風だとしたら、そりゃ米朝一門を距離を置かざるをえないのも当然という気がする。