2009年2月4日水曜日

淡いオレンジ

意外な出会いがまた今度いつくるかと思うと夜も眠れない。

といっても艶っぽい話ではない。映画の話である。
その映画を初めて観る時、期待値が高ければハードルが上がるのは当然で、逆もまた然り。
全然期待していない映画が思いの外面白かったりすると、とんでもなくうれしくなってしまう。
先日、友人に薦められるがままに「オレンジロード急行」を観た。
以前書いた通り、邦画は好きなのだが、この辺の年代の映画はまったく眼中にない。
しかしこの映画に限ってはいい意味で期待を裏切られた。
いやー、面白かった!
全然好きなタイプの映画じゃないし、おそらく友人の薦めがなければ一生観ない作品だったろうに。

正直出だしの無声映画っぽいシーンを観た時はダメかもしれないと。何というか、ああいうあざといのが苦手なんですな。いかにも1970年代後半の映画ってニオイがね。鼻につくっつーか。
でもその後は快調そのもの。原田芳雄の怪演もいいし、こういうキャスティング自体あまり好きでないけど、ま、当然ながらアラカンもさすがの出来。
その代わりといっちゃなんだけど、森本レオや小倉一郎といった、芸達者だけど主役を張れないタイプのふたりをメインキャストにしたのはうまいなあと思いましたね。
でもこの映画、役者がどうこう語るたぐいの映画じゃない。というぐらいあくまで監督による監督のための映画。
大森一樹はね、好きとか嫌いとかじゃなくて興味がない監督の典型なんだけどね。フィルモグラフィを見ても「あ、あれもそうなんだ」って感じで。
何ちゅうか、この人の作品って自己主張は強めなんだけど、色が淡い(絵的にではなく)印象しかなくて。
「オレンジロード急行」も商業映画初監督作品にして、やっぱり淡いんだけど、題材もそうだし、時代背景も含めて「淡さ」といいマッチングができた、そんな気がする。

さっきも書いたように基本的には大森一樹には興味がないんで、もしかしたらもっといいマッチングの作品があるのかもしれないけど、ま、自分は知らない。